「阿片茶」を読む

 以下、終章からの引用。

『ある朝、Aの逝去を報じる記事に出くわした。彼はホテルの部屋を借りていたが、その部屋の窓際に置かれたひじかけ椅子に座ったまま死んでいたのだ。私は死亡記事を読んで、その窓が私のアパートの真向かいに位置していることに気づいた。Aは自分の選択したやりかたでこの世から去ったのだ。私のすまいを見渡すことのできるあの窓際が彼の死に場所だった。彼はそこから自分がずっと前に結婚祝いとして私に贈ったクスノキのたんすを目に留めることができた。
 私を愛し、理解してくれたこの最後の男性に対して、私は深く感謝している。そして彼にこの書物を捧げたいと思う。』

 渋い!イタリアから中国、上海、日本、フランスと波瀾万丈の人生を過ごした、伯爵令嬢の最後の愛は。地上では報われなかった恋があの世で報われることを、一読者としては祈りたい。
阿片茶

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