老人施設の担当者の笑顔に助かる

 その日も会社の昼休みを利用して、施設に出かける。地下鉄の駅から施設までの間に、途中スーパーS店がある。母の好物の果物入りヨーグルトを買っておく。
 母の居る部屋は3階。その階の窓口に、食べ物を持参した旨を伝える。介護士のおねえさんが、一緒に部屋まで来てくれる。ベッドに寝たきりの母を、起こして車いすに移してくれる。
 最初、私が自分で起こそうとしたら、イエイエこちらでやりますと言って、さっさと慣れた手つき(腰つき?)で移動させてくれるのだ。あれはコツが必要で、下手をするとこちらが腰痛になりそう。
 それはともかく、介護士の手を煩わせたくないので、これまではあえて黙って、食べさせてきた。あるとき、介護士に相談したら、座らせないとのどがつまる恐れがあるので、指示に従ってくださいとのこと。
 この施設で働く若者の接客態度には本当に感心する。いくら施設が強制しようが、やはりこれはなかなか続けられるものではない。
 病院と施設とを、さんざんたらい回しにされた後、出会った終の棲家。本人はもうすっかり自分の家だと思い込んでいる。まだ家財道具が残っている団地のことは記憶から消え失せたようだ。私が顔を出すと、「アーお前か、何も(食べさせてあげるものを)出せないけど、ゴメンね」

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