人をいじめ、辱めるという喜びが当時のドイツ人を包んでいたようだ。また人の不幸ないし悲劇から得られると期待された喜びが、万が一奪われることがあれば激しい怒りにつながるものらしい。人間がどこまで残虐になれるかという例を一つどうぞ。
以下引用。
死刑囚の頭に縄をかけようとする被収容者の一人の手が、おそろしく震えているのが見えた。その死刑囚は振り返り、その人の手に口づけをして、彼に何かを言ってから、自分から輪に首を通した。死刑を担当していたゲシュタポの警官がそれを見ると、怒り狂ったようにその囚人が立っているいすを蹴飛ばした。