「ユダヤ人を救った」となると、それで内容がおおむね予想が付く。しかし「動物園」とどう結びつくのか題名からは伺いにくい。それは読んでみてのお楽しみ。
もちろん主人公夫婦以外にも、救おうとした同士がいた。
フェリクスは、怪しいことは何もないと周囲に思わせるため、月に一度、匿っているユダヤ人全員を、動物園その他の安全な場所に移動させ、その間、自宅に隣人や友人を招くということもやった。やがて資金が尽きて、借金まで背負ってしまったが、今度は自分の家を売り、そのお金でユダヤ人を匿えるアパートをもう四戸借り、家具まで入れた。
こういう志はいったいどこから来るのだろう?
何と言っても動物園での「企み」は規模を抜いていたのだろう。動物園で、人を匿う苦労がこれでもかこれでもかと記してある。身近な他人でも信用ができない。使用人の立場で、主人の豪快な食べっぷりをとやかく言うことはさすがにできないが、ときどき「よくあんなに食べられるものね!信じられないわ!」などと彼女がつぶやくのを、アントニーナは聞き逃さなかった。ヤンやアントニーナが「ライオンに餌をやらなきゃ」とか、「キジに」などと言うのを合図に、オリの中の「ゲスト」に食事を届けることもあった。万全を期して、アントニーナは結局、長年つとめた家政婦を解雇し、
結局のところ、長い放浪の旅の中継地として、ワルシャワ動物園に隠れ住んだ人たちの数は、すべて合わせておよそ三百人
だとか。
「ユダヤ人を救った動物園―ヤンとアントニーナの物語」







